コラム

相撲記者長山の「私の見た巡業の猛稽古伝説~武蔵丸」

2018年1月10日 19:40配信

武蔵丸の得意は左四つだったが、ハワイの高校時代、アメフトをやっていた時に首から左肩を痛めたこともあり、四つになるとどうしても貴乃花に勝つ確率は低かった。

そこで打倒貴乃花のために編み出された作戦が右を差してかいなを返し、一気に前に出る相撲だった。

平成9年名古屋場所14日目。ここまで8勝24敗と合い口の悪かった貴乃花に試してみると、一直線に貴乃花を圧倒する相撲が取れた。1つの型ができた武蔵丸は2年後の11年に横綱昇進。故障がちな貴乃花に代わって土俵に君臨した。

特に地力比べとなる稽古場ではほとんど負けることがなく、慌てて本場所で取りこぼすのが不思議なほどだった。あるベテラン相撲記者は、稽古場では史上最強なのでは、と感嘆していた。

様々な力士を相手にする巡業の稽古でも同様で、4、5日に1番負ける程度。30連勝や40連勝は当たり前という感じだった。

横綱昇進した平成11年の夏巡業では、初日の平塚市で10連勝、平塚2日目でも10連勝、長岡市で9連勝、長岡市の6番目の相撲で魁皇に押し出され稽古場連勝が34で止まった。しかしその後は6連勝し、再び稽古場連勝が始まった。

上越市で10連勝、松本市で11連勝、甲府市で11連勝、大田原市で10連勝、狭山市10連勝、続く札幌市では最初の稽古で千代天山を寄り切ったあと、またも魁皇の寄りに屈し、稽古場連勝は59でストップ。武蔵丸は「稽古場の連勝が止まった? しょせん稽古だから、全然関係ないよ」と当然の受け答え。確かに稽古場で何勝何敗などと騒いでいるのは報道陣だけ。稽古では勝ち負けより、内容が大事なのは言うまでもない。

とは言え、武蔵丸が勝った相撲はいずれもヒヤッとする場面さえなく、もしこの巡業に魁皇が不参加だったら、間違いなく100連勝以上はしていたはずだ。

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