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相撲記者長山の歴史コラム 相撲記者長山の目「巡業の取材」その1

2019年7月30日 17:55配信

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公益財団法人である日本相撲協会は、相撲の普及と発展に努めなければならない。各地を巡る巡業は、本場所と並ぶ二本柱に位置づけされているほど重要なものだ。

とはいえ、番付の昇降がかかったピリピリムードの本場所とは異なり、巡業ではお相撲さんもリラックスした表情で、素顔をのぞかせることが多い。また、関取が全員参加するため、取材する側にとっても角界で認知されるための絶好の機会といっていい。

巡業では11時頃までは関取の公開稽古が行われ、稽古終了後にはシャワーや風呂などで砂や汗を流したあと、ちゃんこ(巡業では弁当の場合が多い)を食べる。そのため取材が許されるのは、12時から幕内の土俵入りが行われる1時半ぐらいまでとなっている。

巡業の支度部屋は、体育館内の部屋や隣接する建物が充てられる。場所によって条件が異なるため、関取全員が同じ部屋のこともあるが、基本的には、横綱や大関は別の部屋になることが多い。特に横綱の取材には気を使わなければならい。地元の関係者が訪れることも多く、バラバラで何回も取材するのは失礼なので、付け人に打診して取材OKの時間を聞き、その日に集まったマスコミが一緒に取材を行うことになっている。

★巡業取材のエピソード

巡業の支度部屋でいきなり四つに組んできた若の里

元関脇若の里の西岩親方は、解説などを聞いてもわかる通り、聡明な人物として知られている。もし、相撲界に入らなかったら大学進学を希望していたのか、一時、巡業で取材に来る記者に、必ず出身大学を聞いていたことがあった。

1度聞いたらすぐに覚えてしまう記憶力は抜群で、例えば3人の記者が若の里の取材に訪れると、質問が出る前に「この人は早稲田、この人は上智、この人は学習院」と全て完璧に言い当ててしまうほどだった。

ところが同日、しばらく経って1人で若の里のところへ行き「××スポーツの○○から聞いた話だけど」と話を振ると、「○○さんて誰ですか?」と意外な答え。「あれっ、さっき関取が早稲田出身といった彼だよ」と言うと、「あー、あの人は○○さんと言うんですか」と苦笑い。

どうやら当時の若の里が、記者に対して興味があったのは出身大学だけだったようで…。

次回に続く

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