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コラム

元・東桜山のみんなの大相撲 おかみさんの存在

2020年8月24日 15:20配信

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「力士が脱走」というニュースが世間に流れていました。原因はおかみさんの指導方針に耐えられなくなり逃げ出したとのこと。私は今回問題のあった相撲部屋の当事者では無いので実際のところはどうなのか分かりませんが、おかみさんの存在は相撲部屋にはとても大切だと私は思います。

力士たちは、日ごろ稽古も私生活も含めて親方から厳しく指導されます。そして兄弟子(先輩)たちからも同様に指導され、鍛錬や修行の日々です。そんな中、おかみさんはさりげなく「どうしたの?元気ないね?」とか、「頑張って親孝行しないとね!」とか女性的目線で力士たちをフォローしてくれるとても大切な存在です。

元横綱・武蔵丸の武蔵川親方が新弟子時代に、ハワイから来日して日本の食事などにも馴染めず、お腹を空かせているのをみたおかみさんが、夜にハンバーガーを買ってきて枕元に置いていたという話を聞いたことがあります。また、私がいた玉ノ井部屋でも、おかみさんが夜食にピザを20枚とか頼んでくれて、力士たちは大喜びで、みんなで食べた記憶があります。

私がいた玉ノ井部屋では、本場所の朝、取組に向かうため「行ってまいります!」と挨拶をしに行くと、おかみさんが「これ飲んでパワー出して!」と特製のバナナジュースを作ってくれたり、神棚に手を合わせて、部屋を出る際には、火打ち石を打って「よし!頑張ってね!」と気合を入れてくれたりしました。そして若い衆の取組も衛星放送などで応援してくれて、部屋に帰れば「よかったね!おめでとう!」とか「また次頑張れば大丈夫!」とほめたり励ましてくれたりをしてくれます。

おかみさんは、親方がフォローしきれない部分に関して、そのフォローをしたり、力士の体調面や、精神面をサポートして、相撲部屋では母親的な存在なのです。

今回の問題をみると、真相は分かりませんが、そのフォローが少し行き過ぎた感じになったのでは無いかとも思います。

ニュースでは「古米を食べさせられた」みたいな話もありましたが、正直古米を食べるのは普通のことなんです。というのも相撲部屋にはたくさんのお米の差し入れがあります。それを新しいのから食べるわけにはいかないので、古いのからどんどん食べて行きます。これは力士だけが古米を食べているわけではありません。相撲部屋では大釜でご飯を炊くので、親方だけ別にご飯を炊くことはありません。親方も弟子も同じものを食べて、まさに同じ釜の飯を食べているのです。最近の力士たちは、世の中の甘やかされた待遇に甘えて、修行に来ているという気持ちが希薄しているように私は思います。

以前のコラムにも書きましたが私は「目玉焼きがうらやましかった」のです。関取の前にだけ毎回出てくる目玉焼きがとてもうらやましくて、「俺も強くなって目玉焼き食べるぞ」と頑張ったものです。実際には目玉焼きは普通に食べれたんですが、関取や親方の前には必ず特別な料理が出ていて、給仕をしながらそれを羨ましく思いながら、稽古に励んだものです。

“臥薪嘗胆”の気持ちで、頑張らないといけないと私は思います。

私は、力士時代におかみさんには大変お世話になりました。おかみさんに感謝している力士は多いはずです。おかみさんの存在は相撲部屋には無くてはならない存在だと思います。

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