コラム
元・東桜山のみんなの大相撲「稽古場の掃除」
2018年6月25日 11:25配信
力士たちは稽古が終わると、若い力士全員で稽古場の掃除をします。竹ぼうきで土俵の砂を集める者もいれば、壁を雑巾で綺麗に拭く者もいます。それぞれが分担をして稽古後の稽古場を綺麗にしていきます。先ほどまでの稽古のあとで力士たちも疲れていますが、稽古場の掃除が終わるまでが稽古です。最後までちゃんと綺麗にしていきます。
一般の方は、土俵に上がる機会はなかなか無いと思いますので、実際の土俵はどのような状態なのかあまり分からないかと思います。土俵というものは主に荒木田という名前の土を様々な道具を使って叩き固めて作り、その上に細かな砂をまいて相撲の稽古をします。想像すると何で砂をまくのか不思議に思うかも知れません。「砂があると滑るのでは?」「砂がないほうが力が出しやすいのでは?」という疑問が起こります。
この砂にはとてつもない秘密があるのです。実は砂をまいていることで力士たちへの負担が大幅に削減されているのです。というのも、砂があることで両力士が立ち合いでぶつかり合うとき微妙に足がすべってくれるのです。これにより例えば10の衝撃力で本来ぶつかり合うのが5くらいに半減されるのです。砂で足がすべることで衝撃力が逃げるのです。もし両力士とも砂の無い土俵で取組をした場合、足が滑ることはほとんどないので立ち合いでの衝撃力が直に伝わりお互いに首や膝、足首などを痛めることになります。
各相撲部屋ともに稽古後はこの砂を土俵中央に集めて砂の山を作ります。その際に、力士たちは「あげ板」と呼ばれる角材のようなもので土俵の砂を綺麗に形作っていきます。
写真の山は、ちょっと小さいですがこのようにあげ板で砂を固めて表面をきれいにしていきます。そして最後に下の部分を五角形の状態にしてそこへ御幣を刺すのです。
そして正面側から塩をまいて土俵をこのような状態にします。土俵は神聖な場所ですので日々の感謝や敬意をこめて力士たちは毎日掃除をするのです。
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