コラム
元・東桜山のみんなの大相撲「ニューヒーロー誕生」
2018年8月8日 11:50配信
三横綱の休場、上位陣の不振。そんな名古屋場所、角界に新たなヒーローが誕生いたしました。関脇・御嶽海関の優勝。場所前にまさか御嶽海関が優勝するとは大半の方は予想できなかったと思います。
ここのところ上位陣の横綱・大関も全盛期に比べるとケガなど多くなり中々本来の強さを発揮できないでいます。そこへここぞとばかりに頭角を現してきたのがこの御嶽海関です。まだまだ現在の横綱や大関には頑張ってもらいたいのが本心ですが、ちょうど世代交代の時期が来だしたのではと感じざるを得ません。ほかにも豊山関などの若手も好成績をあげ今後の活躍が期待されます。
力士たちは1年間に6回の本場所があります。1場所15日間。ここでの成績が番付に反映されそれぞれがその地位の待遇を受けます。
本場所が終わると次の本場所までの間、全国各地での地方巡業に参加します。最近はこの巡業の日程も長くなり、また長時間のバス移動やタイトな日程で全国を周るので力士たちへの負担がとても大きくなっています。本場所中にケガをした力士は、次の本場所までの間に治療をして万全な体調で臨みたいところですが、巡業も仕事のうち。なかなか休むわけにはいきません。こんな身体への負担や疲労が蓄積されて一番重要な本場所に休場することになっているのではと危惧します。
力士も30歳代を超えるとそこからは身体を強くする稽古というよりは、いかにいまの身体を維持するかとケガをしにくい身体をつくることが重要だと私は思います。私が現役時代付き人をしていた大関・栃東関も20代前半は毎日筋力トレーニングをして身体を苛め抜いていましたが、けがが多くなった20代後半は、むしろ筋力トレーニングではなく、いかに筋肉を柔らかくして関節の可動域を広げるか、そして自分の身体をいかに自在に動かせられるかに重きを置いてトレーニングをしていました。
いまから10年以上前ですが、“ピラティス”というヨガのようなトレーニングに私も一緒に通いました。私も経験したのですが、ウエイトトレーニングとは真逆のトレーニングで普段なかなか使おうとしても使えない筋肉までも自分の意志で動かせるようになったり今でも不思議なトレーニングでした。いまの上位陣ほとんどが30代。昔みたいながむしゃらな稽古だけではなく、もっと自分の身体を労りケアをして長く相撲のとれる体つくりをしたほうがいいのではと老婆心ながら思います。先週名古屋場所が終わったばかりなのにもう力士たちは夏巡業で全国をまわっています。連日の猛暑で力士たちの体調が心配されますがこの夏を乗り切って9月の秋場所ではまた元気な姿を土俵で見られることを期待します。
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