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コラム

元・東桜山のみんなの大相撲「付け人とは?」

2019年1月9日 20:00配信

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昨今の暴力問題などで、「付け人」の必要性までも問われていますが、この付け人とはいったい何をするのか、改めて付け人についてお話したいと思います。よく「付き人」と言ったり「付け人」だったりどちらが正しいのかというお話になりますが、正確には「付け人」が正しいようです。

この「付け人」は本来十両以上の関取衆や、親方の身の回りの世話などをする若い力士のことで、毎日の生活の中での雑用はもちろんのこと本場所中の取組前などのこの「付け人」が関取衆に世話をします。この「付け人」は部屋の親方の指示で関取衆などにお付きします。

「付け人」の仕事は多岐にわたり、関取の着物の着替えを手伝ったり、また関取衆の部屋の掃除や洗濯、さらにはお風呂で背中を洗ったり、相撲部屋での生活中のサポートはもちろんのこと、本場所中は一緒に場所入りをしたり、土俵入りの際の化粧まわしを締めたり、そして取組前には仮想の対戦相手となって立ち合いの練習なども行ったりととても重要な役割が「付け人」にはあるのです。

私も現役中は数名の関取衆の付け人を経験いたしましたが、付け人に付くことで勉強になることが多くありました。若い力士たちにとって関取は憧れの存在です。その憧れの存在をすぐ間近に見ることができ、相撲への姿勢や振る舞い方、さらには対戦相手への戦略を一緒に考えたり、なかなか見ることができない角界トップの世界を間近に感じられ、とても勉強になりました。付け人にも役割分担があり、一番若い力士は基本的にはお風呂の世話や洗濯などの雑用がメインのお仕事。中堅クラスの三段目・幕下の付け人になると関取衆との稽古相手であったり一緒にトレーニングをするパートナーとしての役割もあります。私は大関・栃東関の付け人を約8年間させていただきましたが場所前のトレーニングも一緒にやらせてもらい本来ならかかるジムの会費や個人トレーナーの費用などすべて関取が面倒見てくれて、スポーツ界トップクラスのトレーニングを体験させてもらえました。

稽古もトレーニングも一緒にやっていますし、本場所の取組直前まで関取のサポートをしていると、相撲は個人競技ですので土俵に上がるのは関取一人ですが我々付け人も花道の奥で一緒に土俵に上がっているそんな気持ちになるものです。勝てば「よっしゃ!!」と付け人同士で握手したり、負けたら「くそー」と一緒に悔しがったりと。

世間的には、テレビの報道等で「付け人」=奴隷とか召使いみたいな認識があるようですが、決してそんなことは無く、若い力士たちにとっても「付け人」に付けることは大変光栄なこと。自分自身が相撲を強くなるにもとても大切なことを勉強できる機会でもあるのです。芸人さんたちもそうだとは思いますが「芸は盗むもの」なんて言葉がありますが、トップクラスの力士の側にいると見えてくるものも違います。

「付け人」はチームと一緒。いつか自分も付け人がつけられる力士になれるように日々鍛錬や勉強の毎日なのです。

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