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大相撲

インタビュー

力士の横顔 第4回:炎鵬(後編)

2019年7月25日 12:00配信

日本の伝統文化を色濃く継承する、華やかな大相撲の世界。力士たちは皆、なぜこの道を志し、日々土俵に向かっているのだろうか。さまざまな人気力士たちにインタビューし、その素顔を探っていく。

炎鵬関のインタビュー後編となる今回は、トレーニングやサプリメントの話を伺った。プロになって、どう意識が変わったのか。若き小さな力士が見据える未来とは。

(聞き手・文・撮影=飯塚さき)

日々の過ごし方と兄弟子・石浦関とのトレーニング

――取組の最中は、いつも何か考えながら動いているのでしょうか。それとも夢中ですか。

炎鵬関(以下、「 」のみ)「夢中というよりも『勝ちたい』『負けたくない』気持ちでいっぱいです。何も考えることなく、早く決まるに越したことはありません。長い相撲は不利だとは思いませんが、15日間取り切ることを考えると、後々体に響いてきてしまうからです。やっぱり、ただでさえ毎日戦い続けることは簡単じゃありませんから。」

――すると、体のメンテナンスも重要になってくると思いますが、日々気をつけていることは何かありますか。

「特に変わったことはしていませんが、睡眠と食事は大切にしています。なるべく体にいいものを取り入れること。あと、ストレスもよくないと思うので、ためないように生活しています。時間に縛られず、忙しくてもゆとりをもつように心がけています。」

――休養は大切ですね。休みの日は何をしていますか。何か趣味などはあるのでしょうか。

「趣味がないんですよね。休みの日は、ご飯食べて寝るだけ。たまに銭湯に行くくらいで、普通の人と変わらないと思います。」

――でも、外においしいものを食べに行くのはリフレッシュになりますよね。

「はい。嫌々食べるより、好きなときに好きなものを好きなだけ食べたほうが、ストレスフリーであるだけではなく、身にもなります。」

――炎鵬関は、よくウェイト・トレーニングをすると聞きますが、毎日行っているのでしょうか。

「いえ、毎日はしません。というのも、いつも稽古で力を出し切ってしまって、トレーニングする余力は残っていないことが多いんです。稽古が軽めに終わった日や、まだ体力が残っているときにはするので、週に2回から多くて3回くらいですかね。始めたきっかけは、兄弟子の石浦関です。一緒にジムに連れて行ってもらったのが最初でした。」

――石浦関は、角界のなかでもかなりの筋トレマニアですものね。具体的に、どんなトレーニングをしているのですか。

「いつも、重さを求めるというよりは、使える筋肉を鍛えるようにしています。マシンだとターゲット部位が限定的なので、主にスクワットなどのフリーウエイトです。そのほうが、足の先から全身に力を伝えることの強化にもなります。これまでは、ケガしにくい体づくりをイメージしていましたが、これからは自分の弱い部分の強化に充てていくつもりです。瞬発系や全身系の筋肉、あとは腿裏と背中が弱いので、重点的に取り組んでいきます。」

プロだからこそ自分の体に一番お金と時間をかける

――稽古やトレーニング前後で、プロテインなどのサプリメントも飲むのでしょうか。

「はい。僕は、食事で量をあまり食べられないこともあって、サプリメントに助けられています。飲まないと、体のハリが抜けてきてしまうんです。アミノ酸、グルタミン酸、HMB(筋肉量増大・減少抑制のためのサプリ)、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシンという3種の分岐鎖アミノ酸の総称)、EAA(必須アミノ酸)、プロテイン、コラーゲン、ビタミン類などを飲んでいます。」

――随分たくさん飲んでいるのですね。

「プロテインやHMBなどは、石浦関と一緒にHALEOというメーカーさんに提供してもらっています。コラーゲンやビタミン類を勧めてくれたのは、嘉風関でした。僕が足首をケガしていたときに声をかけていただき、LINEでお勧めのものの写真を送ってくださったんです。入門当初は何も飲んでいなかったのですが、『体づくりにお金をかけろ』とアドバイスいただいたことで、飲むようになりました。」

――食事と並行して、具体的にどのように活用していますか。

「稽古前にHMB、稽古中にはEAA、終わったらリカバリー系のサラッとしたプロテインを飲んでから、ちゃんこをしっかり食べます。トレーニングのときにも、前後にサプリを飲んで、夕飯もなるべく頑張ってお腹いっぱい食べます。」

――やはり、プロになっていろいろと意識も変わってきましたか。

「だいぶ変わりましたね。学生の頃はサプリなんて飲んでいないし、飲むほど稽古もしていませんでした。プロになったら、体が資本なので、自分の体に一番お金と時間をかけなくちゃと思うようになりました。体が強くなれば相撲も強くなって、稼げるようになりますから。体のケアにしても、アマチュアのときは、自分の体の感覚やコンディションを気にしたことはなく、稽古していても『体だるいけど、少し力を抜いてやればいいや』って思っていました。けど、プロになったら、一日一日の稽古のコンディションが大事になってくるので、考えて稽古するようになりました。自分がどこまでできるかを知りたくてプロの世界に入ってきたので、ゆっくりしている時間はありません。体もないので、人一倍やらないといけないというのは自覚しています。今ある時間は、できるだけ相撲にかけたいと思っています。」

「小よく大を制す」目標は結びで取ること

――ここまでいろいろとお話を伺ってきましたが、炎鵬関にとって、相撲の魅力とはなんでしょうか。

「この体なので、僕から言えるのは『小よく大を制す』です。大きい人しか力士になれないのではありません。一人でも僕のような力士がいることで、体が細い子にも挑戦してみようと思ってもらえるといいなと思います。僕は、『強いな』と思われるよりも、『こいつ何かやってくれそうだな』と思ってワクワクしてもらえるような存在でいたいですね。今、この体だからこそ感じられるお客さんの歓声は、本当にたまりません。」

――炎鵬関のような力士がいることで、見ている側も常に楽しませてもらっています。では最後に、今後の目標をお聞かせください。

「場所の目標は、自分の力を出し切ること。一番一番簡単には負けない、中身と見ごたえのある相撲を取りたいです。15日間終わったときに、自分のできることをすべてできたと思えれば、それでいいと思います。そして、今年中に必ず、結びで取ります。徐々に明確な目標が見えてきているので、一つ一つ、階段を上っていきたいと思います。」

【プロフィール】

炎鵬晃(えんほう・あきら)

1994年10月18日生まれ、石川県金沢市出身。金沢学院東高校、金沢学院大学人間健康学部スポーツ健康学科卒業。本名は中村友哉。宮城野部屋所属。大学1年次に西日本学生相撲新人選手権大会で優勝。2・3年次は世界相撲選手権大会の軽量級で2連覇。白鵬の内弟子として宮城野部屋へ入門し、2017年5月場所に初土俵を踏む。序の口・序二段・三段目と全勝優勝を重ね、わずか6場所で十両に昇進。今年の5月場所で新入幕を果たした。小さな体で土俵上を動き回り、相手を横から崩して前に出る相撲で館内を沸かす。

【著者プロフィール】

飯塚さき(いいづか・さき)

1989年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、18年に独立。フリーランスの記者として『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(報知新聞社)、『Yoga&Fitness』(フィットネススポーツ)、『剣道日本』などで執筆中。

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